はじめに(この回の役割)
第0回では、
Wayland / Xorg / nouveau / nvidia の全体構造を整理しました。
第1回では、実際に手を動かす前にやるべき
- 壊れないための準備
- 詰んだときに戻れる保険
- 最悪でも作業を継続できる逃げ道
を先に用意します。
ここを飛ばすと、
NVIDIAドライバ周りで OSが起動しなくなる=作業終了 になりがちです。
NVIDIA作業で一番多い失敗パターン
まず現実を見ます。
NVIDIA関連で多いトラブルは:
- 画面が真っ黒でログイン画面が出ない
- ブートはしているが表示されない
- Wayland / Xorg / ドライバが競合して原因不明
- 何が壊れたのか分からず再インストール
これらの多くは、
事前に「戻り道」を作っていない
ことが原因です。
事前準備①:Secure Boot を無効化する理由
Secure Boot とは何か(簡単に)
Secure Boot は、
- 起動時に
- 「署名されたカーネルモジュールしかロードしない」
という仕組みです。
NVIDIAドライバとの相性問題
NVIDIAのプロプライエタリドライバは:
- DKMS によりカーネルごとにモジュールをビルド
- 起動時にそのモジュールをロード
Secure Boot が有効だと、
- モジュール署名
- 鍵管理
- 起動拒否
という別次元のトラブルが増えます。
このシリーズでは、
再現性と安定性を最優先し、Secure Boot 無効前提
とします。
BIOSでやること(概要)
※ BIOS操作は環境依存なので流れのみ。
- 電源投入直後に
DelまたはF2 - Boot / Security メニューを探す
- Secure Boot を Disabled
- Boot Mode は UEFI のまま
- 保存して再起動
※ TPM の有無は今回の作業に影響しません。
事前準備②:モニターケーブル退避戦略(最重要)
ここがこの回の核心。
なぜモニターケーブルの話をするのか
NVIDIAドライバで失敗すると:
- OSは起動している
- でも画面が出ない
という状態になりやすい。
Intel iGPU がある構成の強み
今回の想定構成では:
- CPU:Intel(内蔵GPUあり)
- GPU:RTX 3070 Ti(外付け)
つまり、
- 表示先を切り替えられる
実運用ルール(超重要)
- 通常作業:
モニターは RTX 3070 Ti 側 に接続 - 設定作業中・トラブル時:
モニターを マザーボード側(iGPU) に接続
これだけで、
完全に詰む確率が激減
します。
画面が映らないときの豆知識
- ケーブルを抜き差しする
- マウスやキーボードを動かす
- 数秒待つ
これだけで表示されるケースもあります。
事前準備③:CLIだけで復旧する覚悟
NVIDIA周りで壊れた場合、
- GUIは当てにしない
- TTY(Ctrl + Alt + F2〜F6)を使う
という前提で進めます。
このシリーズでは、
- すべてCLI
- エディタは nano
- 復旧手順も明示
を徹底します。
再インストール判断も「正解」
最後に大事な話。
すべてを直そうとして
何時間も溶かすより、
再インストールしたほうが早いケース
は確実にあります。
このシリーズでは:
- 直す
- 捨てる
の判断も含めて 現実的に進める。
第1回のまとめ
この回でやったことは:
- Secure Boot を無効前提にする理由を理解
- モニターケーブル退避という最強の保険を用意
- CLI復旧前提で覚悟を決める
まだ何も壊していません。
でも、壊れても戻れます。
次回予告(第2回)
次回は、
Debian 13インストール直後のGPU状態を正確に把握する
- Wayland + nouveau の確認
- lspci / inxi での現状把握
- 「今どのドライバで動いているか」を証拠付きで確認
壊す前に、現状を記録する回です。
