第1回:Debian 13でNVIDIAに詰まないための事前準備と物理退避戦略

Debian

はじめに(この回の役割)

第0回では、
Wayland / Xorg / nouveau / nvidia の全体構造を整理しました。

第1回では、実際に手を動かす前にやるべき

  • 壊れないための準備
  • 詰んだときに戻れる保険
  • 最悪でも作業を継続できる逃げ道

を先に用意します。

ここを飛ばすと、
NVIDIAドライバ周りで OSが起動しなくなる=作業終了 になりがちです。


NVIDIA作業で一番多い失敗パターン

まず現実を見ます。

NVIDIA関連で多いトラブルは:

  • 画面が真っ黒でログイン画面が出ない
  • ブートはしているが表示されない
  • Wayland / Xorg / ドライバが競合して原因不明
  • 何が壊れたのか分からず再インストール

これらの多くは、

事前に「戻り道」を作っていない

ことが原因です。


事前準備①:Secure Boot を無効化する理由

Secure Boot とは何か(簡単に)

Secure Boot は、

  • 起動時に
  • 「署名されたカーネルモジュールしかロードしない」

という仕組みです。


NVIDIAドライバとの相性問題

NVIDIAのプロプライエタリドライバは:

  • DKMS によりカーネルごとにモジュールをビルド
  • 起動時にそのモジュールをロード

Secure Boot が有効だと、

  • モジュール署名
  • 鍵管理
  • 起動拒否

という別次元のトラブルが増えます。

このシリーズでは、

再現性と安定性を最優先し、Secure Boot 無効前提

とします。


BIOSでやること(概要)

※ BIOS操作は環境依存なので流れのみ。

  1. 電源投入直後に Del または F2
  2. Boot / Security メニューを探す
  3. Secure Boot を Disabled
  4. Boot Mode は UEFI のまま
  5. 保存して再起動

※ TPM の有無は今回の作業に影響しません。


事前準備②:モニターケーブル退避戦略(最重要)

ここがこの回の核心

なぜモニターケーブルの話をするのか

NVIDIAドライバで失敗すると:

  • OSは起動している
  • でも画面が出ない

という状態になりやすい。


Intel iGPU がある構成の強み

今回の想定構成では:

  • CPU:Intel(内蔵GPUあり)
  • GPU:RTX 3070 Ti(外付け)

つまり、

  • 表示先を切り替えられる

実運用ルール(超重要)

  • 通常作業:
    モニターは RTX 3070 Ti 側 に接続
  • 設定作業中・トラブル時:
    モニターを マザーボード側(iGPU) に接続

これだけで、

完全に詰む確率が激減

します。


画面が映らないときの豆知識

  • ケーブルを抜き差しする
  • マウスやキーボードを動かす
  • 数秒待つ

これだけで表示されるケースもあります。


事前準備③:CLIだけで復旧する覚悟

NVIDIA周りで壊れた場合、

  • GUIは当てにしない
  • TTY(Ctrl + Alt + F2〜F6)を使う

という前提で進めます。

このシリーズでは、

  • すべてCLI
  • エディタは nano
  • 復旧手順も明示

を徹底します。


再インストール判断も「正解」

最後に大事な話。

すべてを直そうとして
何時間も溶かすより、

再インストールしたほうが早いケース

は確実にあります。

このシリーズでは:

  • 直す
  • 捨てる

の判断も含めて 現実的に進める


第1回のまとめ

この回でやったことは:

  • Secure Boot を無効前提にする理由を理解
  • モニターケーブル退避という最強の保険を用意
  • CLI復旧前提で覚悟を決める

まだ何も壊していません。
でも、壊れても戻れます。


次回予告(第2回)

次回は、

Debian 13インストール直後のGPU状態を正確に把握する

  • Wayland + nouveau の確認
  • lspci / inxi での現状把握
  • 「今どのドライバで動いているか」を証拠付きで確認

壊す前に、現状を記録する回です。