第9回:GPU完全点検

Debian

Debian 13 + RTX 3070 Ti NVIDIA完全動作チェック集

この回は、
ここまで積み上げてきたすべてが「本当に正しく動いているか」を確認する回です。

設定を増やしません。
チューニングもしません。
確認だけを、事実ベースで行います。

ここで問題がなければ、
Debian 13 + NVIDIA 環境は すでに実戦投入できる状態です。


この回の位置づけ

ここまででやってきたことを整理します。

  • nouveau を完全に無効化
  • Debian公式 nvidia-driver を導入
  • GNOME を Xorg に固定
  • 再起動後に正常起動を確認

第9回はその 最終検証

「動いている気がする」

「証拠付きで動いている」 に変えます。


検証環境(前提)

  • OS:Debian 13(Trixie)
  • GPU:NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti
  • ドライバ:Debian公式 nvidia-driver
  • 表示:GNOME / Xorg
  • Secure Boot:無効

※ ここが違う場合、結果が異なる可能性があります。


① nvidia-smi:ドライバとGPUの生存確認

まずはこれ。

nvidia-smi

正常な状態とは

  • GPU 名が表示される(RTX 3070 Ti)
  • Driver Version が表示される
  • GPU 使用率 / 温度が表示される
  • エラーが出ない

ここで分かること

  • NVIDIA ドライバが正しくロードされている
  • カーネルモジュールが生きている
  • GPU と通信できている

これが通れば、
最低限の NVIDIA 環境は完成しています。


② nvcc:CUDA が使えるか(AI / 計算用途)

CUDA を使う予定がある場合は必須。

nvcc --version

正常な状態

  • CUDA version が表示される
  • command not found にならない

nvcc が無い場合は
nvidia-cuda-toolkit が未導入なだけです。
GPU が壊れているわけではありません。

ここで分かること

  • CUDA ツールチェーンが使える
  • AI / 計算用途の下地が完成している

③ glxinfo:OpenGL が NVIDIA で動いているか

Mesa に吸われていないかを確認します。

glxinfo | grep "OpenGL renderer"

期待する出力例

OpenGL renderer string: NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti/PCIe/SSE2

重要ポイント

  • 「llvmpipe」や「Mesa」が出たらアウト
  • NVIDIA 名が出ていれば OK

これは、

「3D描画が本当に NVIDIA で行われているか」

の決定的証拠です。


④ vulkaninfo:Vulkan が正常か(Steam必須)

Steam / Proton を使うなら超重要。

vulkaninfo | less

長いので less 推奨。

チェックポイント

  • NVIDIA GPU が physical device として表示される
  • エラーで即終了しない

簡易チェックなら:

vulkaninfo | grep deviceName

で GPU 名が出れば OK。


⑤ glxgears:最低限の描画テスト

ベンチではありません。
描画できるかの確認です。

glxgears

正常な状態

  • 歯車がスムーズに回る
  • カクつかない
  • ウィンドウが普通に閉じられる

数値(FPS)は気にしなくていいです。


⑥ KMS(nvidia-drm.modeset):実は一番大事

最後にこれ。

sudo cat /sys/module/nvidia_drm/parameters/modeset

期待する結果

Y

これは何か

  • NVIDIA DRM の KMS が有効
  • 画面初期化が安定
  • ログイン画面・復帰・解像度周りが安定

Debian 公式ドライバでは
ここが有効になっているのが正解


ここまで全部 OK なら

この状態は:

  • Xorg + NVIDIA
  • OpenGL OK
  • Vulkan OK
  • CUDA OK(必要なら)
  • KMS OK

つまり、

Debian 13 + RTX 3070 Ti が
実用レベルで完全に動作している

ということ。


もしどれか失敗したら

慌てなくていい。

  • nvidia-smi が動かない
  • 画面が出ない
  • Mesa に吸われている

その場合は 第13回:復旧・トラブル対策 に進んでください。

このシリーズは
「壊れても戻れる」前提で書いています。


第9回のまとめ

この回で確認したこと:

  • NVIDIA ドライバが正しく動作
  • GPU が本当に使われている
  • ゲーム・AI・描画の下地が完成
  • Debian 13 + NVIDIA の実戦投入が可能

設定はもう十分です。

次からは:

  • Steam
  • Proton
  • AI
  • 電力制御
  • 実運用の最適化

楽しいフェーズに入ります。


👉 次回:第10回(予定)
KMS(nvidia-drm.modeset=1)深掘り
NVIDIA KMSを有効化すべき理由とDebianでの設定方法