第6回:Debian公式nvidia-driverでRTX 3070 Tiを動かす

Debian

はじめに(この回の位置づけ)

ここまでで、あなたはもう一番危険な地雷を踏み終えています。

  • APT リポジトリは整理済み
  • non-free-firmware は最初から有効
  • nouveau は blacklist 済み
  • initramfs も更新済み

つまり今の状態は:

「NVIDIA ドライバを“正しく迎え入れる準備がすべて整っている」状態です。

この回でやることはシンプルです。

Debian が用意している
公式の nvidia-driver メタパッケージを、
そのまま、素直に使う

余計なことはしません。
公式で十分です。


Debian 純正 NVIDIA ドライバとは何か

まず、ここを誤解している人が非常に多い。

Debian の nvidia-driver は、

  • NVIDIA が配布している 公式プロプライエタリドライバ
  • Debian がパッケージ管理に組み込んだもの

です。

つまり、

  • 中身は NVIDIA 公式
  • 管理は Debian
  • 更新は APT
  • DKMS と完全連携

という 最も事故が起きにくい形になっています。


nvidia-driver は「メタパッケージ」

nvidia-driver は単体のドライバではありません。

これは メタパッケージです。

メタパッケージとは:

「これを入れたら、必要なもの一式を全部連れてくる役」

具体的には、以下のようなものが自動で入ります。

  • カーネルモジュール
    • nvidia
    • nvidia-drm
    • nvidia-modeset
    • nvidia-uvm
  • ユーザーランド
    • libnvidia-gl
    • libnvidia-egl
  • ツール
    • nvidia-smi
    • nvidia-settings
  • Vulkan
    • nvidia-vulkan-icd

これを 手動で個別に選ぶ必要はありません

むしろ、選ぶと事故ります。


やってはいけない導入方法

ここで、明確に NG を書いておきます。

  • NVIDIA 公式 .run インストーラを使う
  • Ubuntu 向け手順を流用する
  • PPA 的なものを混ぜる
  • バージョン番号を指定して入れる

これらはすべて、

「短期的には動くが、更新で死ぬ」構成です。

Debian ではやる意味がありません。


NVIDIA ドライバ本体のインストール

準備ができていれば、やることはこれだけです。

sudo apt update

sudo apt install -y \
  nvidia-driver \
  nvidia-settings \
  nvidia-vulkan-icd

これで ドライバ一式は完了です。


インストール中に出る警告メッセージの正体

高確率で、こんな警告が出ます。

nouveau カーネルモジュールが現在ロードされています
non-free の nvidia モジュールと競合します
再起動すれば解決します

これは エラーではありません

意味はこれだけです。

「今はまだ nouveau がメモリに残ってるけど、
再起動すれば blacklist が効いて
nvidia に切り替わるよ」

第5回でやったことを思い出してください。

  • blacklist 設定済み
  • initramfs 更新済み

つまり 再起動待ち状態なだけです。

この警告は無視して OK。


CUDA / Vulkan / OpenGL ツールの導入

次に、GPU が本当に使えるかを確認するための
検証用ツールを入れます。

sudo apt install -y \
  nvidia-cuda-toolkit \
  vulkan-tools \
  mesa-utils

これで以下が使えるようになります。

  • nvcc(CUDA)
  • vulkaninfo(Vulkan)
  • glxinfo / glxgears(OpenGL)

この時点では まだ再起動しません


この時点での注意点(重要)

ここまでで、まだ起きていないことがあります。

  • NVIDIA モジュールはまだロードされていない
  • 表示はまだ nouveau / ソフトウェア側
  • GPU はまだ切り替わっていない

これは 正常です。

nouveau 無効化 + nvidia 有効化は
再起動時に一気に反映されます。


なぜ「公式で十分」なのか

ここで、この回の思想をまとめます。

Debian 純正 nvidia-driver は:

  • NVIDIA 公式ドライバそのもの
  • Debian のカーネル更新と連動
  • DKMS で自動再ビルド
  • セキュリティアップデート対象
  • APT で管理できる

つまり、

「速い」「安定」「壊れにくい」

この三点を同時に満たしています。

バージョンを追いかける必要はありません。
RTX 3070 Ti は 完全にサポートされています


次にやること(次回予告)

次回は、表示系の最終仕上げです。

  • GNOME を Wayland から Xorg に固定
  • なぜギアアイコンが消えるのか
  • なぜ NVIDIA では Xorg が安定なのか

👉 第7回:GNOME Wayland をやめて Xorg に固定する

ここを越えると、
いよいよ再起動 → 実働確認フェーズに入ります。