はじめに(この回の位置づけ)
ここまでで、あなたはもう一番危険な地雷を踏み終えています。
- APT リポジトリは整理済み
- non-free-firmware は最初から有効
- nouveau は blacklist 済み
- initramfs も更新済み
つまり今の状態は:
「NVIDIA ドライバを“正しく迎え入れる準備がすべて整っている」状態です。
この回でやることはシンプルです。
Debian が用意している
公式の nvidia-driver メタパッケージを、
そのまま、素直に使う
余計なことはしません。
公式で十分です。
Debian 純正 NVIDIA ドライバとは何か
まず、ここを誤解している人が非常に多い。
Debian の nvidia-driver は、
- NVIDIA が配布している 公式プロプライエタリドライバ
- を Debian がパッケージ管理に組み込んだもの
です。
つまり、
- 中身は NVIDIA 公式
- 管理は Debian
- 更新は APT
- DKMS と完全連携
という 最も事故が起きにくい形になっています。
nvidia-driver は「メタパッケージ」
nvidia-driver は単体のドライバではありません。
これは メタパッケージです。
メタパッケージとは:
「これを入れたら、必要なもの一式を全部連れてくる役」
具体的には、以下のようなものが自動で入ります。
- カーネルモジュール
- nvidia
- nvidia-drm
- nvidia-modeset
- nvidia-uvm
- ユーザーランド
- libnvidia-gl
- libnvidia-egl
- ツール
- nvidia-smi
- nvidia-settings
- Vulkan
- nvidia-vulkan-icd
これを 手動で個別に選ぶ必要はありません。
むしろ、選ぶと事故ります。
やってはいけない導入方法
ここで、明確に NG を書いておきます。
- NVIDIA 公式
.runインストーラを使う - Ubuntu 向け手順を流用する
- PPA 的なものを混ぜる
- バージョン番号を指定して入れる
これらはすべて、
「短期的には動くが、更新で死ぬ」構成です。
Debian ではやる意味がありません。
NVIDIA ドライバ本体のインストール
準備ができていれば、やることはこれだけです。
sudo apt update sudo apt install -y \ nvidia-driver \ nvidia-settings \ nvidia-vulkan-icd
これで ドライバ一式は完了です。
インストール中に出る警告メッセージの正体
高確率で、こんな警告が出ます。
nouveau カーネルモジュールが現在ロードされています
non-free の nvidia モジュールと競合します
再起動すれば解決します
これは エラーではありません。
意味はこれだけです。
「今はまだ nouveau がメモリに残ってるけど、
再起動すれば blacklist が効いて
nvidia に切り替わるよ」
第5回でやったことを思い出してください。
- blacklist 設定済み
- initramfs 更新済み
つまり 再起動待ち状態なだけです。
この警告は無視して OK。
CUDA / Vulkan / OpenGL ツールの導入
次に、GPU が本当に使えるかを確認するための
検証用ツールを入れます。
sudo apt install -y \ nvidia-cuda-toolkit \ vulkan-tools \ mesa-utils
これで以下が使えるようになります。
nvcc(CUDA)vulkaninfo(Vulkan)glxinfo/glxgears(OpenGL)
この時点では まだ再起動しません。
この時点での注意点(重要)
ここまでで、まだ起きていないことがあります。
- NVIDIA モジュールはまだロードされていない
- 表示はまだ nouveau / ソフトウェア側
- GPU はまだ切り替わっていない
これは 正常です。
nouveau 無効化 + nvidia 有効化は
再起動時に一気に反映されます。
なぜ「公式で十分」なのか
ここで、この回の思想をまとめます。
Debian 純正 nvidia-driver は:
- NVIDIA 公式ドライバそのもの
- Debian のカーネル更新と連動
- DKMS で自動再ビルド
- セキュリティアップデート対象
- APT で管理できる
つまり、
「速い」「安定」「壊れにくい」
この三点を同時に満たしています。
バージョンを追いかける必要はありません。
RTX 3070 Ti は 完全にサポートされています。
次にやること(次回予告)
次回は、表示系の最終仕上げです。
- GNOME を Wayland から Xorg に固定
- なぜギアアイコンが消えるのか
- なぜ NVIDIA では Xorg が安定なのか
👉 第7回:GNOME Wayland をやめて Xorg に固定する
ここを越えると、
いよいよ再起動 → 実働確認フェーズに入ります。
